肥料・農薬について


近年、肥料の過剰施用による環境への影響が指摘されています。
お茶の場合、旨み=上級茶と捉える傾向があり、そのため、旨みの成分を増加させようと
窒素肥料が施肥されています。
窒素はおいしい茶には大切なもの、決して悪者ではありません。
ただ、それが茶の根が吸収しきれないほど過剰になれば、当然、茶園から流出し、
水質汚染につながるということです。

現在、県の指導では、窒素の施用量は10a当たり54sと、かなり下げています。
これは数年前と比べ、半分の窒素量です。
それでは質を落とすのか?という疑問もでてくるかと思いますが、決してそうではありません。
「いかに少量で効率よく効かすか」という技術と工夫、そして、手間を惜しまないということです。
そうやって、環境を配慮しつつ、質の良い茶の栽培を目指しています。

具体的に、どんなことをしているか?
我が家では、質を重視するため、量は採りません。無理な摘採をしないで、できるだけ葉を
残しています。摘採も1番茶、または2番茶までです。
また、計画的な更新や改植(若く元気な茶園の維持)、敷き草の投入(暖効性有機質成分)
深耕の実施(肥料を馴染ませ効きを良くする)等の工夫をしています。

使っている肥料も、暖効性の有機質肥料が主です。
また、施肥方法も、茶園面積のわずか6分の1しかない畝間に限ってやるのではなく、
全面にして、適期に少量の施肥、環境に優しい茶業に取り組んでいます。

普通、1年間の肥料を秋に一括購入するのが一般的なようですが、
我が家では、その年の気象と茶の生育をじっくり考慮し、都度、肥料の量や種類を
決めさせてもらっています。(肥料の効きは、雨量等にとても左右されるのです。)
更にこれからは、1回の施肥量を窒素10s以下にしていくつもりです。
また、土壌分析、ECセンサーも活用していきたいと思います。
エコファーマー取得も考慮しています。

農薬については、必要なとき、必要なだけ使うようにしています。
1番茶は農薬をかけなくて育ちますが、2番茶は気温、湿度とも上昇するときですので、
虫、病気の発生はまぬがれません。
我が家でも農薬を5年くらいかけていない茶園があります。
そこでは、2番茶を取ったことはありません。1番茶のみ、少ししかとれません。

今現在、「静岡県茶主要病害虫参考防除例」では年間10回程が適当とのことですが、
我が家はその半分位の防除です。
もちろん、基準を守っていればよいなどと、甘んじてよい問題ではなく、
今後もその使用には厳しく、適期に少量を心がけたいと思います。

山間部は日照時間が短く、気温も低いので、特に虫の発生が少ないようです。
環境に恵まれた土地であるだけに、環境を守る農業をしていく義務があると考えます。
私達の思い、少しでもご理解いただけたら、大変嬉しく思います。



春野の精・栗崎園 kurichan@lilac.ocn.ne.jp
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